1. シール製品　1. 1 ガスケット

（１）種  類

フランジの間に装着して用いられる静的シール材をガスケットといい、ソフトガスケット
（非金属ガスケット）、セミメタリックガスケット、メタルガスケットの三種類に分類 される。
（表1．1．1） ソフトガスケットは、ゴム、樹脂、黒鉛、無機・有機質繊維等の非金属材料
から構成 され、300℃・3MPa 程度以下の低温・低圧の範囲で使用されている。
ジョイントシート、 ふっ素樹脂（PTFE）ガスケットが代表的であるが、最近は膨張黒鉛ガスケットも
広く 使用されるようになってきている。 セミメタルガスケットは、金属と非金属材料を組み合わ
せたガスケットで、500℃・ 10MPa 程度の中温・中圧の範囲で使用され、うず巻形ガスケット、メタルジャケット
形ガスケットが代表的なものである。 メタリックガスケットは、金属を所定の形状寸法に加工した
もので、一般的には 800℃・45MPa 程度の高温・高圧の範囲で使用される。

(２）選定および使用基準
(ａ）ガスケットの選定基準
（イ）選定手順
使用条件に適したガスケットを選定する手順は、下記の通りである。
①   流体：シールする流体が表1．1．2 の、どの流体区分に分類されるかを確認する。
②   温度・圧力：流体区分別に温度・圧力範囲（図1．1．1～1．1．5）により使用可能なガスケットを選定する。

＜技・製＞      表1.1.2 流体区分

流体区分	代 表 的 な 流 体
水系流体	水、海水、温水、熱水、水蒸気、過熱蒸気等
油系流体	原油、揮発油、ナフサ、灯油、軽油、重油、LPG、アルコール、 フルフラール、エチレングリコール、エチレン、プロピレン、B-B留分、ブタジエン等
溶剤および 腐食性流体	一般的な溶剤、芳香族炭化水素（B.T.Xなど）、ケトン類、アミン類、 エーテル類、フェノール、アクリロニトリル、アンモニア液等 鉱酸、有機酸、混酸、酸性溶液等の酸類、アルカリ類等
ガス系流体Ⅰ	空気、窒素ガス、不活性ガス等
ガス系流体Ⅱ	可燃性ガス、支燃性ガス、不燃性ガス、毒性ガス等 H2、都市ガス、LNG、CO等
低温流体	LPG、液化エチレン、LNG、液体酸素、液体空気、液体窒素、 DME等

＜技・製＞　表1.1.1 ガスケットの種類と特性

図中の番号はバルカーNo.を示す。

＜技・製＞　表1．1．1  ガスケットの種類と特性の注および備考
注（１）スプリング硬さ（JIS A）75未満
 （２）スプリング硬さ（JIS A）75以上
 （３）材質により使用可能温度が異なる。
 （４）400℃をこえて使用する場合、フランジ形式や施工状態 によっては、膨張黒鉛フィラーが消失する場合もある。

【備考】ガスケット係数m、最小設計締付圧力yは、下記を除いて JIS B8265およびJIS B2206に示された値である。
（イ）金属材質により値が異なるものは範囲で示した。
（ロ）※印は、当社が独自に設定した値である。