(6)取扱説明

(a)寸法の決定

①安定した性能を得るためにリング成形品の使用を薦める。リング成形品は、組み込み作業時間の短縮に役立つだけでなく、良好なシール性を維持するためにも大変重要 な役割をしている。紐状のパッキンをそのまま使うと、締付力が奥まで伝達されにくく、スタフィングボックスの手前側と奥側ではパッキンの締付力に大きな差が生じ、これが応力緩和を引きおこして漏れの原因となる。

②軸径とスタフィングボックス内径を確認する。

③やむを得ず紐状で使用する場合は、スタフィングボックス幅と同じ寸法(太さ)のパッキンを選ぶこと。

④適切な寸法のパッキンが見あたらない場合、たとえば、スタフィングボックス幅が9.5mmの場合には、呼び寸法が10mmのパッキンを選び、寸法出しする必要がある。 パッキンを平板上に伸ばし、丸棒をころがしながら均一に加圧してスタフィングボックス幅より0.5mm位細く、つまりこの場合9.0mm程度に仕上げてから使用のこと。

(b)切断
紐状で使用の場合は、パッキン1リングあたりの長さを、次の通り設定すること。 突き合わせてもすき間ができないよう適当な角度で切断する。 L=1.62~1.65(d+D)

ただし
L:パッキン1リングあたりの長さ(mm)
d:軸径(mm)
D:スタフィングボックス内径(mm)

 

(c)パッキンの取り付け

①古いパッキンは全部取り除く。パッキンツールを使用すると作業が容易になる。 この際、パッキンツールで軸を傷付けないように注意すること。
②装着に際しては、パッキンの数および組み合わせ方法をよく確認すること。
③パッキンは、1リングごと奥まで締め付ける。パッキンの切り口は90°~120°ずつずらし、全リングを装着する。

(d)締付および調整
(イ)ポンプの場合

①パッキンの装着が終わったら片締めを避けるため、ナットは交互に対称に締め付ける。締付面圧は1~2MPa程度となる。
②流体を負荷し、多少多い目に漏らし、パッキンが漏出液で十分潤滑されていることを確認してから増し締めする。この場合、急激に締め付けたり、ゆるめたりしないで、ナット頭の一角~1/2角分(つまり1/6~1/12回転)ずつ様子をみながら各ナットを均一に操作する。

(ロ)バルブの場合
③パッキンの装着が終わったら片締めを避けるため、ナットは交互に対称に締め付ける。 締付面圧は、(3)(c)項の設計基準の標準締付面圧を参照のこと。
④漏洩したときは、増し締めを行う。この場合、内圧をゼロにしてから締め付けると効果的である。また片締めや締めすぎに注意のこと。

(e)保管時の注意
(イ)パッキンを変質させないこと
パッキンの構成材料によっては、直射日光や空気中の酸素、オゾンあるいは高温、多湿等の影響を受けるので、パッキンが変質しないよう、なるべく冷暗所で保管すること。 とくに防食処理したパッキンは、酸性雰囲気や多湿環境、高熱箇所での保管は避ける。

(ロ)砂塵の付着を防止すること
倉庫内の保管時や使用途中の取り扱い不注意で砂塵等異物の付着することがある。一度付着すると完全に取り除くことは困難で、異物により軸を傷付け、漏れの原因と なるので十分注意すること。



   

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