(c)布入り合成ゴムVパッキンの装着要領

布入り合成ゴムVパッキンは、装着方法として、エンドレス品を使用する場合と1カット品を使用する場合との、二通りの方法がある。
一般的には、シール安定性からみて、エンドレス品の使用が主流であるが、機器の設置場所や応急処置的な考え方により、1カット品の使用もある。
1カット品のシール性能は、フィラリング(通常Dリング)を併用するが、エンドレス品に比較して、漏れは多いといわれている。


(イ)エンドレス品を使用する場合

①パッキン装着部に傷、異物の付着等シールに悪影響をおよぼすものがないか確認し、あれば手直しおよび清掃をした後に作動油を塗布すること。

②パッキンおよびアダプタに潤滑剤(作動油又はグリース)を塗布すること。

③オスアダプタを一番奥まで入れること。

④Vパッキンを一枚ずつ先に入れたオスアダプタ、またはパッキンに密着するまで押し込むこと。
挿入時は、パッキン外径リップを軟質金属、樹脂ベラ等で傷付けないよう少しづつ押さえながら挿入すること。
このときパッキンは、下図のように傾いて入りやすいので、正常に位置するよう注意すること。


   注(1) エンドレス品はエアが抜けにくいので、上図のようにt1×W10程度の樹脂板を入れると装着しやすくなる。

⑤所定枚数のパッキンを入れた後、メスアダプタを入れ、装備長にしたがってシム厚さを定め、締め付けること。

(ロ)1カット品を使用する場合

①パッキン装着部に傷、異物の付着等シールに悪影響をおよぼすものがないか確認し、あれば手直しおよび清掃をした後、作動油を塗布すること。

②Vパッキンの中央にある小さい溝へ、フィラーリングを装着すること。

③パッキンおよびアダプタに潤滑剤(作動油またはグリース)を塗布すること。

④オスアダプタを一番奥まで入れること。

⑤Vパッキンのカット部(フィラーリングの出ている方)から先にグランド部に順次押し込み、先に入れたパッキンに完全に密着するようにすること。このときパッキンの傾きには十分注意する。

⑥パッキンカット部の合せ目は段差が生じないこと。
段差が生じる原因としては、フィラーリングのずらした部分が完全に溝に入っていないことが多く、この点を確認すること。

⑦所定枚数のパッキンを入れたのちメスアダプタを入れ、装備長にしたがってシム厚さを決定し、完全に締め付ける。

(ハ)パッキン装備長の決め方
Vパッキンの性能を十分に発揮させるには、適正な締め代を与えることが必要である。
当社のNo.2630は以下の基準で締め付けることによって、安定した性能が得られることになっている。

自由長(FL)と装備長(SL)の関係

①No.2630   標準設計品M(5)の場合
SL1=FL1×1.03
SL2=FL2×1.03

②No.2630   Nタイプ(6)の場合
SL1=FL1
SL2=FL2

注(1)FL1は、布入り標準アダプタを用いたときの自由長であり、平滑な面において測定した高さである。

(2)FL2は、Vパッキンのみの自由長で 、 金属アダプタと使用する場合はFL2を適用する。

(3)SL1は、布入り標準アダプタを用いたときの装備長で、ハウジング内で締め付けられたときの高さである。

(4)SL2は、金属アダプタを使用したときの、Vパッキン部の装備長である。

(5)No.2630標準設計品とは、JIS B 2403に準じてつくられている製品である。

(6)No.2630Nタイプとは、JIS B 2403に準拠し、かつ耐圧性、シール寿命を伸ばすべく新しく設計した形状のもので、製品には下図のようなマーキングを施している。



   

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