(f)白色エラストマー

製造工程において行われる各種CIP洗浄液等の影響により、エラストマー製シール材が塩素化、酸化されて劣化による黒色異物や黒濁液が発生する(墨汁現象)。黒色異物・黒濁液が食品・飲料のプロダクト製品に混入すると、商品価値が著しく低下する。
この問題を解決するために、当社では長年培ってきたエラストマー配合技術を駆使し、
①EPDM:耐蒸気性、耐薬品性等にすぐれた性能を示し、コストを含めたトータルバランスにすぐれ、主にOリングやガスケットのように固定用のシール材として数多く使用。
②HNBR:他のエラストマー材料と比較すると、機械強度、耐摩耗性、耐熱性、耐薬品性等にすぐれた性能を持ち、特にウレタンゴムに次ぐ強度を有しているため、繰り返しの打撃など、機械的強度が必要とされる運動部でのシール材として最適。
の2種類をベースとし墨汁現象が発生せず、従来の黒色エラストマー材料と同レベルの性能を持った白色エラストマー材料の開発に成功した。


従来の黒色系

新開発白色系*1
*1 製品により色調に差異がみられる場合があるが、
製品性能に影響を与えるものではない。


(イ)白色EPDM

圧縮永久歪みにすぐれ固定用シール材として最適である。

①基本物性
項目 単位 H0970 H1770 Z01H80
色調 目視 黒色 クリーミーホワイト クリーミーホワイト
硬さ タイプA 71 71 81
引張強さ MPa 18.2 14.1 18.5
伸び 350 290 270
100%引張応力 MPa 3.2 4.4 6.6

②耐次亜塩素酸にすぐれる

試験条件
浸せき液 次亜塩素酸ナトリウム水溶液、濃度250ppm、
     温度80℃
配合No. 色   調 硬さ変化 引張強さ変化率 伸び変化率 体積変化率
  (%) (%) (%)
H1770 クリーミーホワイト -2 -38 -14 6
H0970 黒   色 0 -30 -31 7
試験条件
浸せき液 次亜塩素酸ナトリウム水溶液、濃度250ppm、
     温度80℃、時間168h

③低圧縮永久歪みを実現

試験条件
時間:70時間 圧縮率:25% JIS K6262に準拠


(ロ)白色HNBR「B5490」

HNBRは物理的強度、薬品性にすぐれることから、各種機器の運動用途部のエラストマー材料として多くの実績があるものの、色調は黒色が主流であり清潔感を付加価値として望む飲料・食品市場では白色HNBRのニーズがかねてからあった。実際、白色HNBRは一部市場に存在していたが、従来配合(黒色)と比較すると物性低下が顕著であるため、使用不可との市場評価であった。
しかし、当社では長年培ったノウハウおよび革新的な配合手法の採用により、従来の黒色HNBRと同程度の物性を有した白色HNBR「B5490」の開発に成功した。

B5490の特長
①従来HNBRと同レベルの物性を実現
これまで困難であった従来配合と同レベルの各種物性を当社の革新的配合技術で実現し、厚生省告示第85号も認定済みである。
②清純な色調
色調はクリーミーホワイトであり、清潔感を求める飲料・食品機器用のシール材として最適。
③高引裂強度
従来のHNBRと比較し引裂強度がすぐれ、剪断部位への使用に効果がある。

項   目 B5490 B5090 他社品
色   調 クリーミーホワイト クリーミーホワイト
硬さ(タイプA) 88 89 85
引張強さ(Mpa) 27.1 29.6 18.4
伸び(%) 290 110 230
100%モジュラス(MPa) 9 26
圧縮永久歪み(%)1) 28 26
1 試験条件 圧縮率:25%、温度:150℃、時間:70時間


(ハ)耐溶剤用ふっ素系エラストマー D2670

低価格ながらFFKMに匹敵する耐薬品性を有し、低温から高温までの広い温度領域を
カバーする分野・用途を選ばない万能なふっ素ゴムエラストマーである。

使用温度範囲:-50℃~200℃
使用用途:温度領域を選ばない材料、世界規模対応可能。極寒の駆動系シール等。

溶出物の少ないクリーンな材料
使用用途:食品、半導体等、クリーンな環境が必要とされ、強い腐食性薬品が使用されるシール部位。

優れた耐溶剤性
エーテル系、ケトン系、アミン系各種溶剤に対する強い耐性。
使用用途、実績:塗装メーカーにて、パーフロロエラストマーと競合し、採用実績あり。アセトン、シンナー、MEK、ブチルアミン等の強い溶解性を持つ溶剤使用部位。
特性表 D2670 FKM-A FKM-B FFKM
(汎用) (耐溶剤用)
耐酸
耐アルカリ ×
耐ケトン × ×
耐エーテル ×
耐アミン × ×
含有金属 ×
低温性 × ×
コスト ×
運動用途 ×

アセトン浸漬試験(RT×72hr)

ブチルアミン浸漬試験(RT×72hr)

製品価格対比

ブチルアミン浸漬試験(RT×72hr)

FKM-Bには大きな膨潤、溶解が確認されるが、D2670には溶解、膨潤は確認されない。

   

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