(3)設計指針

(a)選定基準

①取り扱う流体と温度に十分耐えるエラストマーと繊維材料を選ぶこと。
②感度がよく、小さい圧力やわずかの差圧でも敏感に作動できること。
③破壊強度が大きいこと。
エラストマーは気密を保持するのが主目的で、強度の向上の図れる布を併用する。したがって使用圧力に十分耐える基布の選定が肝要で、耐圧力は使用圧力の5倍以上とらねばならない。
耐圧性の目安を得るには、薄肉円筒の耐圧計算式を利用すればよい。図1.2.45のように流体圧力(P)が負荷すると考え、円筒部分(di)とアール部(r)に分けて、(1)、(2)式で計算し、(ft)の大きい方の値をとり、布の引張り強さがこれ以上になるようにすればよい。この場合エラストマーの強度は無視する。布の伸び率に対し、エラストマーの伸び率は格段に大きく、布の破断時にはエラストマーはほとんど応力として働かないからである。

<技・製>図1.2.45 薄肉円筒の耐圧計算圧力負荷状態

ft=Pdi/2t…(1)
ft=Pr/2t…(2)
ft:円周方向の応力 kgf/cm2
t :肉厚 cm
P:流体圧力 kgf/cm2
r、di:円筒の内径 cm

④作動に際し有効受圧面積があまり変化しない形状が好ましい。
流体圧力(P)を受けてダイアフラムが変位した場合の有効受圧面積(S)の変化は平板形が一番大きく、皿形、折り返し形、深絞り形の順に小さくなる。これらはいずれも溝深さ(H)が大きいほど、受圧面積の変化は小さい。折り返し形の例を図1.2.46に示す。

<技・製> 図1.2.46 ストロークと受圧面積の変化


⑤屈曲疲労しにくい材料を選ぶこと。

(b)設計および使用上の注意

装着するフランジ面はガスケットの働きを兼ねるので、漏れがないように十分締め付けねばならない。シール効果を高めるためにフランジ面かダイアフラム外周に突起をもうけるのも一策である。
ダイアフラムを装備した場合、可撓部はセンタープレートの作動方向変位が十分にとれるだけの幅が欲しい(図1.2.47参照)。しかしあまり広すぎると、流体圧力によるダイアフラム自体の変形も大きくなるので、必要な変位量のとれる範囲で狭い方がよい。

<技・製>図1.2.47


ダイアフラムに無理がかからないように、実際の使用ストロークは最大許容変位量の80~90%にとどめるべきである。
ダイアフラムが厚すぎると感度がにぶったり、しわを生じ損傷しやすくなるので耐圧性や、布の露出のないかぎり薄くした方がよい(図1.2.48参照)。

<技・製>図1.2.48


締め付け部分(フランジ面やセンタープレート)の端部に鋭いエッジが残らないようにし、できればダイアフラム厚さの2倍ぐらいのアールを付けるのが好ましい(図1.2.49参照)。

<技・製>図1.2.49

ダイアフラムを締め付けるフランジ部の幅はできるだけ広くとり、作動中にダイアフラムが外れないようにせねばならない(図1.2.50参照)。

<技・製>図1.2.50


フランジやセンタープレートのボルトを締め付けるに際し、まずダイアフラムのずれやねじれのないことを確認し、次いで片締めや締め過ぎにならないよう均等に締め付けねばならない。

   

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