(4)設計指針

(a)ゴム材料と基布材料

(イ)ゴム材質
インフラートシールに使用されるゴム材質の温度および流体に対する特性は、おおむね下表のようになる。
  EPDM CR NBR FKM(1) VMQ
標準使用温度範囲 ℃(参考)   -30~100 -30~80 -20~80 -10~200 -60~200
引裂き抵抗 ×
伸び
耐油性 ×
耐燃料油性 × ×
耐候性
耐オゾン性 ×
耐放射線性
耐酸性 ×
耐アルカリ性
耐蒸気性

注(1) FKMは、ダイヤフラム式()のみ製作可
記号の説明 ◎…優 ○…良 △…可 ×…不可
 EPDM=エチレンプロピレンゴム、CR=クロロプレンゴム、
 NBR=ニトリルゴム、FKM=ふっ素ゴム、
 VMQ=シリコーンゴム

(ロ)補強布
補強布は一般にナイロン布を用いるが、使用条件によって布の種類や枚数が異なり、また必要ない場合もあり、別途相談のこと。
使用条件により、他の材質で製作することもできるので、相談のこと。


(b)設計上および使用上の注意

①製品の最大許容膨張量に対し、実際に使用する膨張量(面間)は、その70~80%の範囲内にとどめること。
②装着溝、固定ジグの製品と接触するコーナー部は、鋭い角度にせずR1以上の丸味を付けること。
③表面の仕上げは1.6a~3.2a程度のこと。
また、上記コーナー部付近は、できるだけ滑らかになるよう仕上げること。
④ボルト締めで固定する場合、取付け面に突起をもうけた方がシール性が高まる。

(イ)標準断面形状と標準製作範囲

備考 上記は送り成形によるもので、専用金型を用いれば標準製作範囲外でも製作可能である。

(ロ)その他の断面形状

前述(イ)項の標準形状の他にシール面間寸法や流体圧力、膨張…収縮頻度等により、 下図のように多彩な設計が可能である。下図の上面がシール面である。


(ハ)平面構造
丸形、角形、直管形、U字形あるいはこれらの組み合わせたもの、いずれの形状も製作可能である。角形、U字形のコーナー部分のRについては、あらかじめ相談のこと。

(ニ)シール方向
内径側、外径側、上面、下面のいずれの方向についてもシール可能である。
シール方向の例を下図に示す。


(ホ)装着構造または取付け方法の代表例


(ヘ)圧力供給口の取付け位置および種類
ふつう圧力供給口は、シール面と反対側の面に取り付けられる。
この他直管形では、端部に取り付けられる場合がある。


取付位置 溝取付方法 口金部のシール方法
下面(丸・ 角) ナット固定方式 

(5)装着上の注意
①装着溝等は装着前に清掃すること。接着する場合は油脂分も取り除くこと。
②装着時に製品表面に傷を付けないように、へらや鋭利な工具は使用しないこと。
③装着は圧力供給口より行い、順次、製品にダブり現象が生じないよう、均等に振り分け
て装着すること。なお、圧力供給口には無理な力がかからないよう、配慮が必要である。
④あり溝等に装着する場合、接触面に潤滑剤を塗布すると、装着が容易にできる。
⑤ボルト締めで固定する場合、その面はガスケットの働きをするので漏れが生じない
ように十分に締め付けること。

   

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