(5)取扱注意事項

金属ベローズはその取り扱いを誤ると、ベローズの特長を十分発揮できなくなるばかりか、 耐久性を著しく縮めたり、極端な場合は損傷のため据え付け時から使用できなくなる ことがある。
品質保証上の観点より、製品の取り扱いには下記事項を守ること。


(a)検収について

製品が到着したら、まず注文通りの品物かどうか確認のこと。ベローズは納入仕様書 に基づいて、細部にわたり検査し出荷しているが、万一の場合、到着までの輸送中に 変形がおこる場合も考えられるので、到着後ただちに検収を行うこと。

(b)保管について

製品を長期間にわたり保管する場合は、外力による変形防止はもちろんのこと、低融点 金属との接触、塵埃付着、直射日光への暴露等の防止とともに、発錆環境(高湿度、 塩害、腐食性物質を含む大気との接触)の中での保管は避けること。

(c)運搬について

製品を裸で運搬する場合は、ベローズに傷を付けたり、曲げたり、あるいは衝撃を 与えて変形することのないように取り扱うこと。

(d)取り付けについて

製品を取り付ける際は、ベローズにトルク(ねじり力)が加わらないよう特に注意し て取り付けること。ベローズの特性上、回転やねじり方向に変位をとることはできない。 また、軸心をずらしたり、指定寸法より伸ばしたり圧縮した状態で取り付けないこと。 フランジ継手のようにボルトを締め付けるときは 、ボルトの頭部やナット等で ベローズを損傷しないように締め付けること。また締め付け作業時には、スパナ等の 締め付け工具でベローズを傷付けることが多いので、十分注意のこと。また、溶接に より接続を行う場合は、ベローズに熱影響がおよばないように十分注意すること。熱影響 によっては歪みを生じたり、使用材料の特性を損なったりするばかりでなく、破損 する場合もあるので注意のこと。

(e)使用範囲について

使用範囲(圧力、伸縮量など)は、納入仕様書に記載してある範囲内で使用のこと。 使用範囲をこえて使用すると寿命が短くなるので、取り付け後の使用範囲が設計時の 仕様をこえる場合は正規の範囲に調整すること。

(f)追加工について

製品の金具(フランジなど)の追加工は極力避けること。やむを得ず追加工を必要と するときは、切削片等により傷が付かないよう、またベローズの内部や谷間に切削片が 入り込まないように防護するとともに、トルクや振動を与えないこと。また、溶接 により接続を行う場合は、ベローズに熱影響がおよばないように十分に注意のこと。 熱影響によっては歪みを生じたり、使用材料の特性を損なったりするばかりでなく、 破損する場合もあるので注意のこと。


戻る