(3)MVパッキン(No.2632MV, 4632MV)
MVパッキンは、特殊Uパッキンと布入りゴムVパッキンとの高性能複合シールのことで、次の特長がある。
(a)特 長
(イ)シール性能
油圧用Uパッキンのリップ構造を持ったパッキンで、シール性能は1リングで使用するUパッキンと同等の安定したシール性を持っている。
(ロ)しゅう動抵抗
布入りゴムVパッキンに比べて、しゅう動抵抗が小さい。
(ハ)耐油圧
材質およびゴム硬さは、油圧用Uパッキンと同じものを使用しており、バックアップリングとしてVパッキンを併用しているため、最大37.3MPa{380kgf/cm2}である。
(ニ)耐久性
寿命は、従来のVパッキンだけの組み合わせと同等である。
(ホ)装着性 Vパッキンだけの組み合わせの場合、適切な締め代を与える必要があるが、MVパッキンはその必要がないので、装着性は容易になる。
(ヘ)溝寸法
従来の布入りゴムVパッキンの溝寸法と互換性がある。
備 考 グランド部設計要領はVパッキンの項((2)(b)項)および寸法編を参照のこと。
(b)装着要領
①パッキン装着部に傷、異物の付着等、シールに悪影響をおよぼすものがないか確認し、あれば手直しおよび清掃をした後に作動油を塗布する。
②パッキンおよびアダプタに潤滑剤(作動油またはグリース)を塗布する。
③オスアダプタを一番奥まで入れる。
④MVパッキンをオスアダプタに密着するまで押し込む。挿入時はパッキン外径リップを軟質金属、樹脂ベラ等で傷を付けないよう、少しずつ押さえながら挿入する。
⑤VパッキンをMVパッキンに密着するまで押し込む。このときパッキンは下図のように傾いて入りやすいので、正常に位置するよう修正する。
⑥所定枚数のパッキンを入れたのちメスアダプタを入れ、パッキンを締め付けて完了する。装着長は寸法表を参照のこと。
注(1) エンドレス品はエアが抜けにくいので、上図のようにt 1×W10程度の樹脂板を入れると装着しやすくなる。