(4)空気圧機器用パッキン
省力化、省人化により、シリンダをはじめ電磁弁、減圧弁、制御弁等、空気圧機器の使用が著しく増大した。
これは、空気圧システムの活用により、汚染や爆発等の危険性は少なく、コスト的にも安価であること等によるものと考えられる。
これに伴い、シール材として要求される条件は、シール部のコンパクト化や経済性、低圧時の作動性等であり、現在もよりすぐれたシール材が求められている。
(a)種類と特長
(イ)ワンリングパッキン
JPAS 012で規格化されたピストンおよびロッドパッキン溝に使用されるパッキンで、ピストン用は両圧形であり、ロッド用はダストリップ付である。 このパッキンは、
使用個数と装着スペースのコンパクト化とコストダウンが可能である。
(ロ)Uパッキン
JPAS 001で規格化されたピストンおよびロッドパッキン溝に使用されるパッキンである。
(ハ)クッションパッキン
フローティングタイプのクッションパッキンは、クラッキング圧が低いことと、クラッキングした後のパッキン戻りがないため、低圧からなめらかにシリンダを作動させる 働きをする。
形式 | 用途 | シリーズ名 | 規格 | |
空気圧機器用パッキン | ワンリング | ピストン用 (小口径) |
PSP | JPAS 012 |
ピストン用 (大口径) |
PWP-N | |||
ロッド用 | PUD | |||
Uパッキン | ピストン用 | UPP | JPAS 001 | |
ロッド用 | UPR | JPAS 001 | ||
クッションパッキン | ロッド用 | CPF | - | |
CPC | - | |||
ダストシール | ロッド用 | DPS | - | |
DHS | - | |||
ウェアリング | ピストン用 | WPS | - |
備 考 グランド部設計要領は、Uパッキンの項を参照のこと。
各種潤滑油の空気圧機器に対する適合性
種類 | 特長 | 用途 | 評価 |
マシン油 | 最も広い用途を持ち、安価である。パラフィン分を含むので凝固しやすい。精製不十分なものは膠着し、摩耗を引きおこす。 | 一般機械の潤滑油 | × |
ギヤ油 | 品質は種々ある。 脂肪や活性硫黄を有する添加材は、合成ゴム等のシール材を侵す場合がある。 |
自動車、一般機械の歯車用 | × |
スピンドル油 | 軟質の潤滑油で一般に低アニリン点を示し、合成ゴム等のシール材を膨潤させる場合がある。 | 低荷重、高速軸受用で精密機械向き | × |
タービン油 | パラフィン基性の溶剤精製油で高級である。 耐酸化、耐乳化性にすぐれる。添加タービン油は酸化安定性が特によい。 |
各種タービン その他高速軸受用 |
◯ |
一般油圧作動油 | 一般油圧機器用に開発されたもので各種添加剤を含み、必要特性をほぼそなえている。 タービン油系に相当する。 |
一般油圧機器用 | ◯ |
多用途油(R&O油) | 同上および工業用多目的に開発されたものである。 | 一般油圧機器用 および工業用多目的油 |
◯ |
適合性評価の分類
○…原則的に良
×…不良または選択に要注意(できるなら使用しない方がよい)
引用文献 実用空気圧ポケットブック(1990)社団法人日本油空圧工業会
システム番号の説明
(1)スプールタイプでメタルシール方式の方向制御弁の場合
……システム番号②が望ましい。
(2)スプールタイプで弾性体シール方式およびポペットタイプの方向制御弁の場合
……システム番号①が望ましい。
(3)無給油システムの場合
……システム番号③が望ましい。
引用文献 JPAS 005