2.1.2 バルフロンフレキシブル管および管継手 (1)バルフロンベローズ(No.7800シリーズ)
配管のベローズの種類は多いが、主用途である配管の熱膨脹、収縮の吸収、振動・ 騒音の吸収を目的に使用される。そのなかでも、特にオールマイティに使用できるNo. 7803-4を推奨する。
(a)種 類
ベローズは製造上および用途上、次の通りに分類される。
(イ)切削ベローズ
No.7800……バルフロンを切削加工したもので、山型がV形のものとU形のものがあり、 U形をラジアスカットと称しているがU形については現在標準化中である。
No.7801……No.7800にフランジを組みこんだもので、通常リミッターボルトが取り付 けてある。
(ロ)成形ベローズ
No.7803-1……バルフロンホースをU形に成形し、アウターリングで補強したものである。
No.7803-2……バルフロンホースをU形に成形し、コントロールリングを装着したものである。
No.7803-3……バルフロンホースをU形に成形し、コントロールリングおよび外筒を 装着したものである。
No.7803-4……厚肉バルフロンホースをU形に成形し、アウターリングで補強したもの である。
(b)選定基準表
<技・製> 表2.1.3
バルカー No. |
耐圧性 | 耐真空性 | 耐熱性 | 耐寒性 | 耐薬品性 | 耐浸透性 | 変位吸収性 | 低反力性 | 柔軟性 | 屈曲寿命 | 軽量性 | (2)F/S |
応力分散性 | (3)耐S C C性 |
|||
軸 | 直角軸差 |
角 | 振動 | ||||||||||||||
7801 | △ | × | △ | ○ | ◎ | ○ | ◎ | ○ | ◎ | ◎ | ◎ | ◎ | ○ | ◎ | × | × | ○ |
Jan-03 | △ | × | ○ | ◎ | ◎ | △ | ○ | ◎ | ○ | ◎ | ◎ | ◎ | ◎ | ◎ | × | △ | ○ |
〃 -2 | ○ | × | ○ | ○ | ◎ | ○ | × | × | × | △ | ○ | ○ | ○ | △ | × | △ | ○ |
〃 -3 | ◎ | △ | ◎ | ○ | ◎ | ◎ | × | × | × | × | ○ | ○ | ○ | △ | ○ | ◎ | ○ |
〃 -4 | ◎ | ◎ | ◎ | ◎ | ◎ | ◎ | ◎ | ◎ | ◎ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○(1) | ○ | ◎ |
Jan-06 | ◎ | △ | ◎ | ◎ | ◎ | △ | ○ | △ | ○ | × | △ | × | × | △ | ○ | ◎ | × |
〃 -2 | ◎ | △ | ◎ | ◎ | ◎ | △ | ○ | △ | ○ | × | △ | × | × | ○ | ○ | ◎ | × |
〃 -3 | ◎ | ◎ | ◎ | ◎ | ◎ | △ | × | △ | × | × | × | × | × | ○ | ○ | ◎ | × |
注 (1)外筒付の場合
(2)ファイアーセイフ
(3)応力腐食割れ
(c)使用区分
<技・製> 表2.1.4
注(1) No.7801の場合、切削時の肉厚の調整により耐圧性は改善される。
(2) No.7803-4の250A以上で負圧使用品は相談のこと。また350A,400Aは、平リングでの値。
備 考 上記耐圧の範囲は、軸差(軸直角)0の場合の値を示している。
(d)設計に際しての注意
(イ)ベローズ形の継手が軸心の変位に耐えることはその特性の一つであるが、軸心が 変位するとベローズのヒダが片寄り、ベローズ内部応力の不均一化により局部的 な伸びを発生、強度低下の原因となるので、ベローズ付近は管の軸心がずれぬよ うガイドで拘束することがトラブルを少なくし、ベローズ寿命を伸ばすコツとい える。配管軸の変位調整を目的とする場合は、伸縮調整は極力兼ねないように 配慮のこと。
(ロ)伸縮継手を使用する場合は、まず配管経路の線図により管の伸縮量を正確に計算 し、配管のフレキシビリティでの収縮可否を検討したうえ、必要と認めたものに ついては固定点(主アンカ、中間アンカ)の位置を決定し、固定間の伸縮量を チェックする。
(ハ)温度変化によるパイプラインの伸縮のほかに、配管施工上生ずる面間の過不足、 角変位、軸差はできるかぎり少なくしなければならないが、多少なりともこれら を吸収する必要もあるので、伸縮量に余裕を持たせること。
(ニ)中間アンカ :伸縮継手は一固定間に1個以上使用しないようにすること 。 したがって2個以上の伸縮継手を必要とする場合は、各々の中間に固定点を 設けること。ただし、その強度は内圧による推力が相殺されるため、主アンカー のような強度は必要としない。
(ホ)ベローズを使用した場合のアンカおよびガイド法 伸縮継手を使用する場合は必ず主アンカを設けなければならない。
①主アンカの強度
②曲管部の主アンカの強度
③ガイド法
伸縮継手が正常に作動するためには配管重量が継手にかかったり、内圧や圧縮 応力で軸に直角方向のバックリングがかからないよう、必ずガイドを設けること。
(ヘ)その他
スラリーを含む流体や高粘度の流体が流れるときは、ベローズ内側にバルフロン ホース(またはスリーブ)を内装すること。これは流体の堆積や乱流を防ぐとと もに、スラリーによるベローズの摩耗の防止にも効果がある。
(e)製作範囲
<技・製> 表2.1.5
バルカー No. |
実績による最小、最大 (呼び径) |
備 考 |
7801 |
15~800 | 呼び径800をこえるものは相談すること |
7803 |
15~450 | 呼び径450をこえるものは相談すること |
7803-3 |
25~400 | 呼び径400をこえるものは相談すること |
7806-1,2 |
25~450 | 呼び径450をこえるものは相談すること |
7806-3 |
80~550 | 呼び径65以下はインナリングが装着できない 呼び径550をこえるものは相談すること |
(f)使用上および取り付け上の注意
(イ)寿命に影響するので許容伸縮量をこえる装着は避けること。
(ロ)リミットボルトを取りはずして設置することも危険である。特に大きな軸差、角変位を必要とする場合は相談のこと。
(ハ)ベローズ前後の配管は固定すること。
(ニ)伸縮量の関係で取り付け数が2箇所となるときは、等間隔に設置すること。
(ホ)危険な流体配管に設置するときは、ベローズに保護カバーあるいは他の方法による安全処置を講じること。
(ヘ)振動吸収の目的でベローズ継手を使用するときは、ベローズはできるだけ機器に近づけて取り付け、機器と反対側の管をできるだけベローズに近い箇所で強固に固定すること。
(g)保管上の注意
(イ)フレア部を保護しているカバーフランジは、必ず取り付けて保管すること。
(ロ)ベローズ面間は自由長でロックし、塩分を含んだ雨水等がかからないよう、また特にバルフロン裸のベローズは、外部からの損傷を受けないよう十分注意のこと。