(7)ニューバルフロンPFA
半導体製造プロセスのなかでも、ウェットプロセスを中心に、ふっ素樹脂製品が多く使用されている。ICの集積度は著しく向上しており、それに伴い、ふっ素樹脂に対する高品質化の要求はますます強くなってきている。最近、使用時におけるふっ素イオンの溶出をおさえた新しいタイプのPFAが開発された。表1.1.14に、PFA成形チューブの溶出ふっ素イオン濃度の測定例を示す。<技・材> 表1.1.14 溶出ふっ素イオン濃度
単位:ppm |
ニューバルフロンPFA | 従来PFA | |
原料ペレット | 0.2> | 1~3 |
成形品(チューブ) | 1.6 | 4.2 |
- 測定サンプル
原料ペレット
成形チューブ(ペレット状にカット) - 測定方法
イオン抽出液:水+メタノール+TISAB(Ⅱ)〔1:1:2〕20cm3 抽出液にサンプル約10gを投入。室温で24h放置後、F-イオン測定装置(オリオン リサーチ製EXPANDABLE ION ANALYZER EA940)によりふっ素イオン濃度を測定。
(8)充填材入りふっ素樹脂
(a)充填材の配合による物性の改良
PTFE単体では耐摩耗性や圧縮強さ、耐クリープ性等の特性が十分でなく、それらを
改良するために充填材が配合される。用途に応じてさまざまの充填材が使用されている。
代表的な充填材の種類とその特長を表1.1.15に示す。
<技・材> 表1.1.15 充填材の種類と特長
充填材の種類 | 充填材識別記号 | 特 長 |
グラスファイバー | 15%…2K0 |
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グラスファイバー+ グラファイト |
20%+5%…2N1 |
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グラスファイバー+ MoS2 |
15%+5%…2K7 |
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グラファイト | 15%…1K0 |
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ブロンズ | 60%…3M0 |
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ブロンズ+炭素繊維 | 3U8 |
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カーボン・グラファイト | 25%…6T0 |
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炭素繊維 | 10%…8H0 |
|
有機系充填材 | 9A1 |
|
<技・材> 表1.1.16 新しいタイプの充填材入りPTFEの特性

備 考 1.本表の値は、自社測定値の一例を示し、規格値ではない。
2.これまでのカタログ・文献などの値と多少異なるが、成形条件・測定方法の違いによる。
<技・材> 表1.1.17 各種充填材入りPTFEの特性一覧表1)

(b) しゅう動特性
<技・材> 図1.1.19 摩擦係数とすべり速度4)

<技・材> 図1.1.20 摩擦係数と荷重4)

<技・材> 表1.1.18 アルミニウムを相手材とした場合の摩擦摩耗特性4)

引用文献 : 1)~4) 1.2項末尾を参照。

