バルフロン® 軸受

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バルカー製品番号
7500
製品名
バルフロン® 軸受

特長1
充填材入りPTFEを所定の形状に切削し、軸受、滑り材とした加工品です。


■ 用途

(a)潤滑油が製品を汚染すると困る。……紡機、食品加工機、製薬機械等
(b)給油する場所が近くに設けられない。……天井換気扇等
(c)ゴミ、ホコリの多い場所に使われる。……建設機械、農業機械等
(d)高温内で用いる。……乾燥機ファン等
(e)極低温で用いる。……冷凍機械等
(f)化学薬品、溶剤中で用いる。……ケミカルポンプ、溶剤量流計等
(g)高寿命の要求に対応できる。……自動車、OA機器等

■ 特徴

・無潤滑で使用できる。……摩擦係数が小さい。
・給油機構が不要になる。
・内容物を汚染する心配がない。
・設計を簡単、かつ小形化ができ、コストダウンに役立つ。
・無潤滑での限界PV値が高い。……耐摩耗性にすぐれている。金属製ピストンリングに比べ約30倍。
・静摩擦係数が動摩擦係数より小さいので、滑りはじめの方が軽く動くため、回転と静止が頻繁な場所、揺動、往復動の場所に最適である。

■ 特性

摩擦特性
(イ)静摩擦係数 荷重が小さいと高く、荷重の増加とともに低くなる。
通常は0.04~0.16(荷重が極端に小さい場合を除く)

(ロ)動摩擦係数 低速で小さく、速度とともに大きくなる。
通常は0.12~0.19

(ハ)温度の影響は、室温~327℃(PTFEの融点)間では実質的にないといってよく、
融点をこせば急激に増加する。

(ニ)上記((イ)~(ハ))の関係は充填材入りPTFEでもよく保たれるが、摩擦係数は
若干増加する。

【備 考】 Ⅳ材料1.1(8)に、PTFEおよび各種充填材入りPTFEの静および動摩擦係数を示したが、前述の通り係数は使用条件で変化するので、これらは限られた条件下の例を示すにすぎず、相対的比較の意味で示してある。
したがって、摩擦係数の絶対値を重視する用途では、模型による実際条件下での実測を行っておくことが望ましい。
PV値
PV値は荷重P(MPa)×速度V(m/s)の値で、軸受表面の発生熱量に関係する。発生した熱を放散できず蓄積すれば、PTFEの融点に達し速やかに破壊するから、PV値は使用限度の目安を与えるものである。
PV値と摩耗量の関係を図5.1.19に示す。
限界PV値まではPV値と摩耗量はほぼ比例関係を保ち、限界PV値に至って発生熱を放散しきれなくなり、温度が上昇し摩耗量が急激に増加する。

限界PV値はこのように、軸受材料として耐えうる最高の(荷重×速度)を示すもので、
Ⅳ材料1.1.(8)にそれを示す。
ただし、充填材入りPTFEの軸受の使用限界は荷重と速度の積だけでなく、各々について
も限度があり、それらは軸受の形状、放熱条件にもよるが、大体次の通りである。

P最大=6.9MPa{70kgf/cm2}
V最大=5m/s
P・V最大=0.69MPa・m/s{7kgf/cm2・m/s}

摩耗特性
充填材入りPTFEの摩耗について、広く引用される関係式は次の通りである。

    W=KPVT
    W:摩耗の深さ(cm)、T:時間(h)
比例定数Kは摩耗係数と呼ばれ、この値が小さいほど耐摩耗性のすぐれていることになる。

PTFEと充填材入りPTFE各銘柄のKをⅣ材料1.1.(8)に示す。充填材を入れることによりKの値がPTFEの1/1,000程度となること、すなわち耐摩耗性が約1,000倍に向上しているのがわかる。
Kの値から、与えられたPV値で軸受を運転するとき、たとえば1,000時間でどのくらい摩耗するのか予測計算ができるが、Kの値は実験室で限られた条件下で、特定の形状の軸受サンプルを用いて得られるのだから、普遍的な値ではなく一つの目安にすぎない。

(イ)摩耗速度におよぼす要因
摩耗速度は多くの要因で変化するが、次にあげる点は一般に認められている。
①充填材の含有量:最適の含有量があり、それ以下でも以上でも摩耗が増加する。
②外気温:高いほど増加する。
③相手面:シャフトの材質、表面仕上げの程度、硬さにより軸受の受ける摩耗が異なる。
  一般に鋼、鋳鉄、ステンレスは良好である。表面仕上げは0.5~4μm程度が適当といわれており、その前後いずれで  も軸受の摩耗は増加する。仕上げがよすぎても摩耗が大きいのは、PTFEの相手シャフト面への転移
  (単分子層のコーティング)が円滑に行われず、初期摩耗が続くためと解釈されている。

(ロ)水中摩耗
水が境界潤滑状態で軸受面に介在する場合、ガラス入りPTFE等では異常に摩耗が大きく
使用に耐えない場合が生じる。この場合はⅣ材料1.1(. 8)の水中での摩耗係数の値から
わかるように、カーボン/グラファイト系および炭素繊維入りが特にすぐれている。

■ 材質選定

充填材の種類と特長

充填材の種類 充填材識別記号 特   長
グラスファイバー 15%…2K0
20%…2N0
25%…2T0
耐摩耗性が良好。
電気的特性が良好。
アルカリに侵される。
水中摩耗に弱い。
グラスファイバー+グラファイト 20%+5%…2N1 耐クリープ性が良好。
しゅう動特性を改善する。
グラスファイバー+MoS2 15%+5%…2K7 耐クリープ性、圧縮強さが良好。
しゅう動特性を改善する。
電気絶縁性が良好。
グラファイト 15%…1K0 しゅう動特性が良好。
軟質相手材を攻撃しない。
ブロンズ 60%…3M0 耐クリープ性、圧縮強さが良好。 熱伝導性がよい。
ブロンズ+炭素繊維 3U8 油中でのしゅう動特性が良好。
カーボン・グラファイト 25%…6T0
33%…6P0
耐クリープ性、高温耐荷重性が良好。
炭素繊維 10%…8H0 水中でのしゅう動特性が良好。
耐クリープ性が良好。
有機系充填材 9A1
9A2
9B1
軟質相手材を攻撃しない。安定したしゅう動特性。
耐クリープ性、圧縮特性が良好。

■ FAQ

Q. 材質選定や設計の対応は出来ますか?

A. ご使用条件を確認させて頂き、個別に対応いたします。お問い合わせ下さい。


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