ボルト荷重の算出(JIS B 8265-2003)

この計算式は、配管系および圧力容器のボルト荷重の算出に適用するもので、JIS B 8265-2003の抜粋である。


(イ)計算上必要なボルト荷重
ボルトの所要断面積の計算に用いるボルト荷重は、次による。
①使用状態でのボルト荷重


ここに
Wm1:使用状態における必要な最小ボルト荷重(N)
H  :内圧力によってフランジに加わる全荷重(N)



Hp:気密を十分に保つために、ガスケットまたは継手接触面に加える圧縮力(N)

bo :ガスケット座の基本幅(mm)で、表1.1.6による。
b :ガスケット座の有効幅(mm)で、次による。

bo≦6.35 mmのとき b=b
bo>6.35 mmのとき b=2.52√b

G:遊動フランジおよび金属面接触の平面フランジを除いては、次による。
bo≦6.35 mmのとき   G=ガスケット接触面の平均径(mm)
bo>6.35 mmのとき   G=(ガスケット接触面の外径)-2b(mm)

m:ガスケット係数で、表1.1.5による
P:設計圧力(MPa)



②ガスケット締め付け時のボルト荷重



ここに
Wm2 :ガスケット締め付けに必要な最少ボルト荷重(N)
y    :ガスケットまたは継手接触面の最少設計締付圧力(N/mm2)で、表1.1.5による。


③セルフシールガスケットを使用する場合
この場合は、締め付けのための軸方向荷重が無視できない特殊な形状のものを除いて、次の式によることができる。

   

 ここに Dg :ガスケットの外径(mm)

【備 考】 たとえば熱交換器の管板をはさむ一対のフランジのように、フランジまたはガスケットが同一でない場合は、Wm1およびWm2の値はそれぞれのフランジまたはガスケットについて計算した値のうち大きい方とし、その値をフランジ の計算に用いなければならない。


(ロ)ボルトの所要総断面積および実際のボルトの総断面積
使用状態およびガスケット締め付け時の両方に対して必要なボルトの所要総断面積Amは、次の2式による値のうちの大きい方をとる。

ここに   
Am1 :使用状態でのボルトの所要総断面積(mm2)で、ねじの谷底または径の最少部の断面積をとる。
Am2 :ガスケット締め付け時のボルトの所要総断面積(mm2)で、ねじの谷底または径の最少部の断面積をとる。
σa :常温でのボルトの許容引張応力(N/mm2
σb :設計温度でのボルトの許容引張応力(N/mm2

実際に使用するボルトの総断面積A  は、ボルトの所要総断面積Aより常に大きく
なるようにボルト径を定めなければならない。

(ハ)フランジの計算に用いるボルト荷重
フランジの計算に用いるボルト荷重は、次による。
①使用状態でのボルト荷重

②ガスケット締め付け時のボルト荷重

ここに
Wo:使用状態でのボルト荷重(N)
Wg:ガスケット締め付け時のボルト荷重(N)

【備 考】  締め過ぎに対する安全性が余分に要求される場合、またはフランジが有効全
ボルト荷重Ab ×σa に対抗することを必要とする場合には、フランジはこのガスケット
締め付け時のボルト荷重を基準にして設計してもよい。


<技・製> 表1.1.5 ガスケットの材料と接触面1)2)3)4)
JIS B 2206抜粋




※注
(1)座面形状7,8,9,10は、アルミニウム合金製管フランジに適用する。
(2)このガスケットは、アルミニウム合金製管フランジに適用する。
(3)このガスケットは、過大な締付によって樹脂がコールドフローをおこす場合がある。
そのため、全面座および平面座フランジでの使用にあたっては、フランジと接触しているガスケットの投影面積あたりの締付力として、最大許容締付力を上回らないよう注意が必要である。
(4)グラスライニングフランジには適用しない。
(5)このガスケットのm, y値、座面の形状およびガスケット座の基本幅は、当社追記。
(6)シール面をふっ素樹脂(PTFE)でラミネートしたもののm, y値も同値をとる(当社追記)。


【備 考】
1.ガスケット係数m は、ガスケットが全部ボルト穴の内側縁内方向にだけあるものに適用する。
2.この表には、一般に多く用いるガスケットの材料とその接触面の形状を、表1.1.6に示すガスケット座の有効幅b を使ったときに実際に使用して満足であることが一般的にあきらかなmとy の推奨数値とともに示す。
3.この表の値は、各ガスケット材料についての代表的特性値を示したものであって、同形式のガスケット全てを包括するものではない。
したがって、この表の値は、形式の差によって幅を持つと考えられる。
4.アルミニウム合金製管フランジに異種金属ガスケットを選定する場合は、腐食に対して十分な配慮が必要である。


<技・製>表1.1.6 ガスケット座の基本幅 1)2)3)

※注
(1)のこ歯が、深さ0.4 mm、歯のピッチが0.8 mmをこえない場合は、1bまたは1dを用いる。
(2)アルミニウム合金製管フランジに適用する。

【備 考】
 この表でガスケット座の基本幅b0 の I および II の区分は、表1.1.5参照のこと。


   




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