(4)メタル中空Oリング(No.3640、3641)
薄い金属管を円や所定の形状にくせ付けし、両端を突き合わせ溶接した中空の金属Oリングである。比較的低締付力でシールができ、ガスケット接合部をコンパクトに設計できるため、高温・高圧・高真空の各種機器に使用される。名 称 | 断面形状 | バルカーNo. |
基 本 形 | 3640 | |
バランス形 | 3641 |
(a)種類および使用可能範囲
(イ)使用可能範囲バルカーNo. | 3640 | 3641 |
圧 力 | 高真空~ 7MPa | 真空~300MPa |
(ロ)用途
航空・宇宙機器、真空機器、半導体関連、原子力関連、電子機器、撹拌機、溶融紡糸装置、油圧機器等、各種産業における機器のガスケットに使用される。
(b)製作範囲(参考)
管記号 | 管径mm×管厚さmm | SUS304 | SUS316 | SUS321 | インコロイ800 | 製作可能寸法外径mm |
J | 0.9×0.15 | ○ | 8~100 | |||
L | 0.9×0.25 | ○ | ||||
G | 1.6×0.15 | ○ | 11~200 | |||
A | 1.6×0.25 | ○ | ○ | ○ | ○ | |
M | 1.6×0.35 | ○ | ||||
B | 1.6×0.5 | ○ | ○ | ○ | ||
H | 2.4×0.15 | ○ | 25~350 | |||
C | 2.4×0.25 | ○ | ○ | ○ | ○ | |
N | 2.4×0.35 | ○ | ||||
D | 2.4×0.5 | ○ | ○ | ○ | ○ | |
E | 3.2×0.25 | ○ | ○ | ○ | 40~1500 | |
O | 3.2×0.35 | ○ | ||||
F | 3.2×0.5 | ○ | ○ | ○ | ○ | |
P | 3.2×0.8 | ○ | ||||
I | 4.8×0.5 | ○ | ○ | 200~2000 | ||
K | 6.4×0.8 | ○ | ○ | 400~2500 |
【備 考】
1.○印は、在庫材料。
2.メタル中空Oリングは、金属管を突き合わせ溶接した際の内面のビードを全面均一になるように仕上げている。
(c)構成材料
材料 | 材料固有の耐熱限界(℃)(1) | |
管 | ステンレス鋼(SUS304) | -250~540 |
ステンレス鋼(SUS316) | -250~820 | |
ステンレス鋼(SUS321) | -250~870 | |
インコロイ800 | -250~980 | |
被覆材 | バルフロン(PTFE)コーティング銀メッキ | -200~260 |
銀メッキ | -250~650 | |
ニッケルメッキ | -250~760 |
※注(1)表面被覆を行ったメタル中空Oリングの耐熱限界は、管と被覆材料のいずれか低い方の値となる。
(d)設計資料
(イ)フランジの種類と使用区分
圧力および圧力方向 | 要 求 事 項 | 種類(下図No.) |
内圧用 | 溝加工をきらったり、ガスケット交換の容易さを望む場合 | ① |
急激な圧力変動や繰り返し圧力のかかる場合 | ② | |
高粘性流体やスラリーあるいは腐食性のある流体を取り扱う場合 | ③ | |
継手の構造上、はめ込み形を必要とする場合 | ④ | |
真空、または外圧用 | 継手の構造上、はめ込み形を必要とする場合 | ⑤ |
継手の構造上、溝-平形フランジを必要とする場合 | ⑥ |
●関連規格
MS 9141~2、MS 9202~5、MS 9371~7、AMS 2400、AMS 2410、AMS 2418、 AMS 2422、AMS 2424、AMS 2515、AMS 5570、AMS 5576、AMS 7325、MIL-Q-9858
(ロ)流体の種類および圧力と管の厚さ、ならびに相手面の表面粗さ
流 体 の 種 類(粘 度) | 圧 力 区 分 | 管の厚さ (mm) |
相手面の表面粗さ(Ra) | ||
コーティング、メッキなしの場合 | PTFEコーティングの場合 | メッキの場合 | |||
真空および一般気体 (揮発性流体) |
真空または300MPa以下 | 0.50 | ── (1) | 0.8 | 0.4 |
水・蒸気および各種水溶液 (低粘度の流体) |
300MPa以下 | 0.50 | 0.4 | 0.8 | 0.4 |
スピンドル油・作動油等 (中粘度の流体) |
50MPa未満 | 0.25または0.50 | 0.8 | 1.6 | 0.8 |
50MPa以上 | 0.50 | ||||
潤滑油・タール・溶融プ ラスチック等(高粘度の流体) | 50MPa未満 | 0.25または0.50 | 0.8 | 1.6 |
1.6 |
50MPa以上 | 0.50 |
※注(1) 真空および一般気体には、必ずバルフロンPTFEコーティングもしくはメッキしたものを使用のこと。
(ハ)溝寸法 単位mm
【備 考】
表面被覆の厚さ(PTFEコートの場合0.025~0.050mm、銀・ニッケル・銅メッキの場合0.025~0.040mm)
(ニ)締付力計算基準
①正圧をシールする場合 最大流体圧力P[MPa]をシールするのに必要な締付力Wm[N]は、
②負圧をシールする場合 負圧をシールするのに必要な締付力Wm[N]は、
ただし、
Ws:シールを保つために、あらかじめガスケットを溝に締め切るのに必要な力[N]
Wp:流体圧力に基づく力[N]
D :Oリングの外径[mm]
d :Oリング管径[mm]
K :Oリングの円周単位長さあたりの締付力[kN/m](下図参照)