1.2.3 ダイアフラム

ダイアフラムは、一般にゴム単体またはゴム引布地を用途に合わせ、平板形、皿形、折返し形、深絞り形などに成形した製品で、これ単独または金属やバルフロン等と組み合わせて用いられている。
機能的には、隔膜として、また外部への漏れを防止するというパッキンとガスケットの二つの働きを持ち合わせたシール材である。

(1)種類と用途

種類、形状 特長 用途 製作範囲(mm)
平板形ダイアフラム
平らな板状のダイアフラムで主に小形で過酷な条件には不向きである。使用中は変位に伴なって材質が引伸ばされるため大きなストロークがとれない。
最大ストロークは、平板の厚みの約2倍。
ポンプ
アキームレータ
ブロワー( 2 )
その他
外径2000φ
1500角
皿形ダイアフラム(1)
平板形ダイアフラムよりも大きいストロークがとれる。
最大ストロークは、深さの約2倍。
ポンプ
バルブ
その他
外径1000φ
折返し形ダイアフラム(1)

深絞り(転動形)形ダイアフラムイアフラム
皿形ダイアフラムよりさらに大きいストロークがとれる。
深絞り形になると最も長いストロークが可能で、ベローズのようなものもある。折返し形ダイアフラムはストローク行程において、パッキンのように摩擦抵抗が発生しない。したがって潤滑剤の必要もなく摩擦、摩耗による損傷がない。
最大ストロークは、深さの約2倍。
バルブ
圧力調整弁
その他
外径1000φ
注(1) 皿形、折返しダイアフラムの1000φ以上および深絞り形ダイアフラムの製作については、別途相談のこと。
 (2) ブロワー等、振動数が多い場合、また無理な変位を与える場合、屈曲繰返し特性のよいタフレタン製のものが有効である。


(2)ゴム材料と基布材料

ゴム材質の選定は、接触する流体に侵されたり、劣化しないこと、併せて、耐屈曲性、耐熱性、耐真空性にすぐれていることが重要である。
また、ダイアフラムとしては、耐圧性向上のため、ゴムと布を組み合わせたものが一般的で、加工上補強布との接着性がよいことも一つの条件となっている。ゴム材料の選定は、表1.2.26に示す通りであるが、基布については、現在では、ポリエステル系やポリアミド系繊維でできた布地が多く使用されている。
また、高温使用としては、ガラス繊維の布地も使用されているが、屈曲性等に劣る。

<技・製>表1.2.26 用途別適合エラストマー材料一覧表
接触流体 材料
空気圧用 CR, CSM, U(1)
動・植物油、作動用 NBR, CR, FKM
脂肪族系および芳香族系溶剤用 NBR, FKM
耐酸用 EPDM, EPM, CSM
耐アルカリ用 EPDM, EPM, CSM
腐食性流体用 PTFE張りゴム(PTFE)
注(1) Uはバルカータフレタンを示す。

   

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