バルカホイルガスケット

純黒鉛質シール材料であるバルカホイルの特性を生かしたガスケットで、耐熱性・耐薬品性・耐放射線性に優れています。極低温から高温までの広範な温度範囲に使用可能です。(バルカホイルとは、当社の膨張黒鉛製品の登録商標です。)

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バルカー製品番号
VF-30
製品名
バルカホイルガスケット
特長1
バルカホイルをシート状に成型したのち、所定の平面形状に打ち抜いたガスケットです。

適用流体
水、海水、熱水、水蒸気、原油、アルコール、動植物油、熱媒油、一般溶剤、弱酸、弱アルカリ、強酸・強アルカリ、空気、窒素ガス、不活性ガス、排ガス、極低温流体、など
不適な流体
高温の濃硫酸、濃硝酸などの酸化性の酸
用途
種類
VF-30
備考

■ 使用可能範囲

温度(℃) 圧力(MPa)
-240〜400 2.0

1. 温度と圧力は、それぞれ個別の使用限界を表しています。2. 高温の濃硫酸、濃硝酸などの酸化性の酸には使用できません。

■ 製作寸法

製作寸法厚さ 製作寸法大きさ
0.4 1000×1000
0.8 1000×1000
1.0 1000×1000
1.2 1000×1000
1.6 1000×1000
3.0 1000×1000

本製品はガスケット加工品でのご提供になります。

■ 設計基準

ガスケット係数”m” 最小設計締付圧力"y"
(N/mm2
推奨締付面圧
(MPa)液体
推奨締付面圧
(MPa)ガス
2.0 26.0 26.0 40.0

(1) JPI-7R-70-88解説に準じています。(2) 推奨締付面圧は流体圧力は考慮せず、一般的な条件で必要な締付面圧であり、ガスケットの接触面積についての面圧です。

■ バルカホイルガスケットの物性値

■ バルカホイルガスケットの物性値 ■

項    目 VF-30 VF-35E(1) 備    考
厚さ(mm) 1.6 3 1.6 3 -
引張強さ(MPa) 3.8 3.8 15.6 10.3 JIS R 3453
圧縮率(34.3MPa)(%) 45 43 42 42
復元率(34.3MPa)(%) 11 12 12 13
密度(kg/m3 1067 1054 1216 1143 -
応力緩和率
(20.6MPa)
100℃×22h(%) 7.3 12.4 9.5 9.2 JIS R 3453
200℃×22h(%) 10.7 14.4 10.2 16.4

注(1)No.VF-35Eは、ステンレス鋼薄板入りの状態での物性値です。
備考 上記の値は実測値であり、規格値ではありません。

■ 流体別使用可能範囲

流体別使用可能範囲

■ 圧縮復元特性

圧縮復元特性

■ 設計および使用時の注意事項

■ 設計および使用時の注意事項 ■
▼設計時に注意すべき事項

・ガスケットに十分な締付面圧が与えられ、ローテーションの起こりにくいようなフランジ構造とボルト配分を考えてください。
・圧縮率が大きくなりますので、配管長さにご注意ください。
・継手部に無理な熱応力や繰返し曲げ応力、振動のかかる設計は避けてください。
・フランジ部にドレンやスケールなどのたまらないような配管設計にしてください。

▼装着時に注意すべき事項
・ガスシールの場合は下記「浸透漏洩防止対策」を参照してください。
・ガスケットとフランジの間に異物をかみこまないよう清浄な作業現場で装着を行ってください。
・フランジボルトは、それぞれ4~5回に分けて徐々に強く締めていき、最後に全体が均等になるように締付けてください。
・締付けには圧壊にご注意ください。特に150Lb1B以下の小径、ガスケット幅がせまい場合は、ガスケット面圧が過大になりやすいのでご注意ください。
・ロードアップまたは再スタートの場合には必ず増し締めを行ってください。
・一度漏洩したガスケットをそのまま増し締めしても漏れがとまらないときは新しいガスケットと交換してください。
・許容締付面圧が低いため、小口径ガスケットのように高い面圧が負荷される場合は圧壊にご注意ください。

▼浸透漏洩防止対策
バルカホイルガスケットは、比較的、浸透漏洩が起こり易いため、ガスシールの場合は以下の項目をお守りください。
1.ガスケット内径側の切り口にガスケットペーストを塗布し
てください。ガスケットペーストをフランジに接触するガスケット面に塗布した場合は圧壊しやすくなるため、締め付けに注意すると共に、ペーストはできるだけ薄く塗布するようにしてください。
2.締付面圧を35MPa程度としてください。締付面圧確保のため、全面ガスケットではなく、リングガスケットを使用してください。
3.できるだけガスケットは厚さの薄いもの(1.6mm以下)を使用してください。

▼保管時に注意すべき事項
・シート面に傷がつきやすい製品です。取扱いにご注意ください。
・直射日光を避け、冷暗所に保管してください。
・保管箇所は高温や多湿、腐食性環境を避け、ほこりのない清浄な場所を選定してください。
・ガスケットを釘などに引っ掛けて吊るすと、破損、永久変形の原因となるため、大きめの平板にはさみ水平においてください。

■ FAQ

Q. シートガスケットなどで締め付け隙間で管理をしたいのですが、どのようにすればいいでしょうか?

A. 隙間による管理は誤差が生じ易く正確な面圧が得られません。片締めの対策には有効ですので、トルク管理と併用してご活用ください。

Q. JPI、ASME/ANSI規格フランジのガスケット寸法の違いについて教えてください

A. JPIは基本的にはASME/ANSIからの引用ですので、元数値のミリ換算時の丸め誤差で多少寸法が異なることはあります。実使用上は、どちらの寸法でも同等のガスケット機能を果たすと認識します。

Q. プラント運転中は問題なくても、停止、再運転時に漏れが発生することがあるのはなぜですか?

A. 温度変化によりフランジ、ボルト、配管などの伸び縮みが起こります。その結果、温度低下時(再運転初期の低温時を含む)にはガスケット部分に締付力低下の傾向が多く見られ、緩みによる漏れとなります。よって一般的には、初回熱付加後の再運転前に増し締め(締めなおし)をしていただくようお勧めしています。

Q. 漏れ発生時の増し締めは有効ですか?

A. 有効です。漏れ時の増し締めは内圧を抜いてから増し締めを実施していただくようお願いいたします。ただし、ジョイントシートの場合では温度による硬化があり破損する可能性があるなど、製品別に注意すべき点もございます。

Q. どのガスケットを選定すれば良いのかわからないので、選定してもらえないですか?

A. ご使用条件と併せてお問合せいただければ、当社技術担当が選定し、適切な製品を推奨させていただきます。

■ バルカーハンドブック技術編

■ バルカーハンドブック寸法編


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